2014年5月2日金曜日

【STAP騒動の解説 260501】 ダーウィンの番犬(第2回) メディアのプロ意識・・報道の自由の乱用を恥じる




ダーウィンの番犬(第2回)
メディアのプロ意識・・報道の自由の乱用を恥じる



放送法には次の規定がある。
第174条 総務大臣は、放送事業者がこの法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反したときは、3月以内の期間を定めて、放送の業務の停止を命ずることができる。


また、放送法では有名な条文だが、
第4条 放送事業者は、国内放送及び内外放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること、
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
と定められている。


2014年のSTAP事件では、マスメディアは明らかに第4条の四に違反した。つまり、STAP論文を正しいとする小保方さんと、不正だとする理研、京大の2つの意見は明らかに対立していたが、メディアは「不正側」の報道に終始した。


ネットや個人の論評などは、公的報道機関ではないので、その力は限定され、それが故に、放送法の規定が及ばない。しかし、今回はネットが指摘し、個人の専門家が激しく一方的な非難をしたのをそのままほぼ100%受け入れて報道を続けた。


「意見が対立している」というのは、「数」ではなく、もちろん「質」であり、特に今回のように批判されているのが個人である場合、必然的に「多勢に無勢」になる。しかし、当人は明らかに一方の当事者であり、質的には批判側とは対等である。


このことを考えると、マスメディアが放送法に反して個人のバッシングを続けたことになり、国民は正しい情報を均等に得ることができなかった。その結果、報道機関がもっとも大切にしなければならない「表現の自由」が「凶器」となって、一個人を追い詰めた。これは表現の自由を重んじる人たちにとって恥辱以外の何物でもない。


すし職人が仕事に使う包丁で人を殺めることがないように、仕事の道具を凶器に使うほど恥ずかしいことはない。


私は総務大臣から業務停止を求められる前に、NHKをはじめテレビ局が自主的に業務の一部停止をして、自らの非を認めることが、現在のメディアの信用失墜を回復する手段の一つであると思う。


事実は明らかなのだから、ほうかむりせずに、潔く自らを処して欲しい。それこそが報道の心、魂、そして覚悟だろう。


(平成26年5月1日)
武田邦彦

(出典:武田邦彦先生のブログ






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